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学報告

国内留学記

角田梨紗子


奈良県立医科大学

私は博士号取得後、数年間臨床業務を行なった後に香取幸夫教授のご高配により2018年9月より奈良県立医科大学の微生物感染症学講座への国内留学の機会をいただきました。教室を率いる矢野寿一教授は、かつて私の博士論文のご指導をいただきました恩師であり、博士論文に関する研究のみならず、東北大学病院の各診療科の感染症原因菌の遺伝学的同定や薬剤耐性遺伝子の検出や詳細な型別などについてもご指導いただきました。そのおかげで、耳鼻咽喉科領域はもちろん、感染症領域の研究の面白さに魅了され、大学院卒業後も検体収集や遺伝子解析などを継続しておりました。そのような折にこのような機会をいただけたことは、大変ありがたいことでした。

当時の奈良県立医科大学の微生物感染症学講座のスタッフは、矢野先生のほか講師、助教の先生がそれぞれお一人ずつの計三名でしたが、その他にも年齢の近い大学院生の先生方や医学部の学生さんも在籍しており、とても活気がありお互い切磋琢磨しながら研究できる環境でした。教室のメインの研究テーマは、薬剤耐性菌の耐性機序に関する研究でした。


感染症研究

中でも、最近アウトブレイクなどで時々マスコミを騒がせることもある「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)」などの薬剤耐性菌の耐性機序の解析や疫学解析です。それ以外にも、奈良県立医科大学病院内外で発生した感染症原因菌の同定や耐性機序に関する研究を行なっていました。次世代シークエンサーを用いた最新の方法での解析も行っており、私も耐性菌の薬剤感受性測定から薬剤耐性遺伝子の検出まで一連の手法についてご指導いただき勉強させていただきました。私は、これらに加えて、耳鼻咽喉科領域の微生物学研究にも力を入れて行ないました。私のメインテーマの一つは、副鼻腔真菌症に関する研究です。副鼻腔真菌症の病態を微生物学的観点から解明することを目標に研究を進めており、現在も継続中です。

大学院卒業後にもこのような素晴らしい環境で研究を行う機会をいただき大変貴重な経験をさせていただきました。このような機会をいただきました香取幸夫教授、医局はじめ関連の皆様にこの場をお借りしまして心より感謝申し上げます。