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聴外来

あらゆる年齢層における難聴患者さんの診療を行います。

1.難聴外来について

1)難聴外来とは

難聴外来では、小児難聴から加齢による難聴まで全ての年代に起こりうる感音難聴を対象とします。音を感じ取る内耳から神経・脳のレベルまでの異常について、診断と治療を行います。

2)当外来で診療する疾患

先天性難聴、遺伝性難聴、突発性難聴、音響外傷、騒音性難聴、薬剤性難聴、加齢による難聴、その他原因不明の難聴など、感音難聴をきたす全ての疾患

2.診断治療について

1)診断について

手術風景何種類かの聴力検査を組み合わせた精密聴力検査や画像検査を行い、専門医が診断し、治療を行います。

2)治療方針

急性の感音難聴では、早期の治療により聴力の改善率が高くなります。病状に応じて入院での治療も行っています。治療困難な難聴で聞き取りに不便を感じている方には、補聴器が役に立ちます。また、補聴器の効果がないほどの高度の両側感音難聴になった方、あるいは生まれながらに両側高度感音難聴の方には人工内耳埋め込み術が適応となることもあり、音の世界を取り戻すことができます。

3.担当医よりメッセージ

1)難聴について

一口に難聴と言っても、その程度や状態はさまざまです。一般に、急に生じた難聴は回復する可能性があります。また、慢性中耳炎などが原因の難聴の場合、手術で聴力が改善することもあります。まず、正確な診断が大切です。当科では最新の診断法を用いて障害部位の診断・機能評価を行い、それぞれの聴覚特性に基づいた補聴器装用指導、人工内耳医療など、総合的な聴覚管理を行っています。

2)小児難聴について

小児の難聴では、乳幼児期からの早期診断・早期療育開始がとても大切です。小児担当の医師が、診断から治療まで一貫した対応をしています。

3)人工内耳について

人工内耳は、補聴器の効果のない先天性難聴の方や、成人後に病気で両耳が聞こえなくなった方などの聴覚を取り戻すために有効な治療法です。日本では1993年から保険医療の対象となり、これまでに5000人以上の方が人工内耳の手術を受けていて、その効果はよく知られているところです。難聴外来では、患者さんの聞こえについて詳しく調べ、人工内耳が適応になるか否かを判定しています。小さなお子様から80歳以上の高齢の方まで手術が可能ですが、とくに小児の場合は早く手術するほうが言葉の発達には有効なことが知られています。

4.各疾患説明

1)先天性難聴

原因不明なことが多いですが、今まで原因不明とされていた難聴の中には遺伝子変異が原因で引き起こされているものがかなり含まれていることがわかってきました。

また、外耳、中耳の形態異常や妊娠中の母体のウィルス感染による難聴もあります。形態異常の場合は治療可能なこともありますが、多くの場合は治療困難です。一側性難聴の場合は特別な治療は必要ないと考えられます。

両側性の場合には、難聴の程度に応じて早期から補聴器や人工内耳による療育を行うことで、残った聴覚を活用した言語発達を期待することができます。

2)突発性難聴

文字通り、ある日突然聞こえがわるくなる病気です。耳閉感(耳が塞がった感じ)、耳鳴りを同時に感じることがよくあります。治療はステロイド剤を中心とした薬物治療です。

比較的難聴の程度が軽い方は外来での通院治療が可能ですが、中等度以上の難聴の方やめまいを伴っている方、糖尿病などの合併症がある方には入院治療をお勧めしています。

残念ながらすべての方が完治するわけではありませんが、早期の治療により改善率が上がることが知られています。

3)音響外傷

爆発音などの衝撃音を聞いた後、あるいはロックコンサートなどで大きな音を一定時間聞いた後に急激に発症する難聴です。しばしば耳閉感、耳鳴を伴います。突発性難聴に準じた治療を行います。

4)騒音性難聴

音響外傷を引き起こすほどの大きさでなくても、工場の騒音など一定以上の大きさの音を日常的に聞いていると、徐々に難聴が進行することがあります。難聴になってしまった場合の有効な治療法はありませんが、適切な騒音管理で予防することができますので、早期の診断と労働衛生管理が重要です。

5)加齢による難聴

加齢に伴い聴覚も衰えてきます。小さな声やざわざわした場所での会話が聞き取りにくい、などがその初期の代表的な症状です。残念ながら、薬物などの治療で聴力を改善することはできませんが、多くの場合は補聴器が有効です。

ただし、補聴器はそれぞれの聴力の状態に応じてきめ細やかな調整をする必要があります。まず、専門医による正しい診断を受けることが重要です。