神経耳科外来
めまいと顔面神経麻痺の診断と治療を行います。
1.神経耳科外来について
1)神経耳科とは
様々な原因で発生するめまいや顔面神経麻痺を起こす疾患を取り扱う外来です。
2)当外来で診療する疾患
メニエール病、良性発作性頭位眩暈症、前庭神経炎、顔面神経麻痺(ベル麻痺、ハント症候群)
2.診断治療について
問診、聴力検査、平衡機能検査、顔面神経機能検査、画像検査(CT、MRI等)などを行い、専門医が診断し治療を行います。
3.担当医よりメッセージ
1)めまいについて
診察風景めまいの原因はさまざまです。最も多いのは内耳が原因と考えられるものですが、中には脳腫瘍、脳梗塞など中枢性疾患が原因で引き起こされることもあります。正確な診断に基づく治療を受けることが重要です。
2)顔面神経麻痺について
顔面神経麻痺の多くは、ヘルペスウイルスが関係して引き起こされることが分かっています。重症例では、早期から抗ウイルス薬とステロイド剤を用いた治療を受けることがとても大切です。
4.各疾患説明
1)メニエール病
聴力低下・耳鳴を伴うめまい発作を繰り返すことが特徴です。めまいには吐気や嘔吐を伴うことが多く、しばしば耳閉感や強い音に対する過敏性も認めます。内耳の内リンパ腔が拡大する「内リンパ水腫」が関係していると考えられていますが、なぜ、内リンパ水腫がおこるかなど、根本的な原因はよくわかっていません。
治療は、まず、内リンパ水腫の軽減を目的とした利尿剤などを用いた薬物治療を行います。ストレスの関与も指摘されており、十分な睡眠を取るなど、規則正しい生活を行うことも大切です。
めまい発作がコントロールできない症例では、鼓膜チューブ留置術、ゲンタマイシン鼓室内投与、迷路破壊術、内リンパ嚢開放術などの外科的治療を行うこともあります。
2)良性発作性頭位眩暈症
めまいの中では、最も頻度が高いものです。三半規管の異常により、寝返りなど「頭を動かした時」だけ回転性めまいが起こります。難聴・耳鳴りなどの他の耳症状は伴いません。治療としては、「浮遊耳石置換法」という理学療法が有効ですが、症状が遷延することや、再発を繰り返すこともあります。
3)前庭神経炎
突然発来する激しいめまいが特徴です。激しいめまいは、通常、数時間から数日続きますが、難聴・耳鳴や他の脳神経症状を伴うことはありません。メニエール病と違って、めまいを繰り返すことはありません。
発作後はしばらくふらつきが残ることもありますが、徐々に消退します。発作の初期は安静が第一で、入院治療を要することもあります。原因としては、ウイルスによる前庭神経や前庭器の障害が考えられています。
4)顔面神経麻痺
原因不明のベル麻痺が最も多いといわれています。水痘-帯状疱疹ウイルスによるものをハント症候群と呼びます。 麻痺がひどい時は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)と抗ウイルス薬の投与を行います。 まれに、顔面神経鞘腫などの腫瘍性疾患によって麻痺が起こることがあります。 また、中耳炎や耳下腺悪性腫瘍などにより顔面神経への影響が生じた場合にも顔面神経麻痺が起こります。