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下センター外来

嚥下障害がある患者さんの検査・治療を行います。

1.摂食嚥下障害治療センターについて

1)嚥下とは

嚥下とは、食べ物や飲み物を飲み込む一連の流れ、すなわち飲み込みを指す言葉です。
普段何気なく行っている動作ですが、実際には口腔、咽頭(のどの奥~食道に入るまでの部分)、喉頭(のどの奥で呼吸をする通り道となったり、声を出したりする部分)、食道が複雑に協力しあって成り立っています。さらに、食事を口に運ぶまでの動作、食事そのものの種類、姿勢など、それを支える環境が整って初めて、適切な嚥下を行うことが可能なのです。したがって様々な要因が、飲み込みがうまくいかなくなる「嚥下障害」の病態を引き起こします。

当センターではこれらをふまえて、嚥下内視鏡や嚥下造影などで嚥下に関する問題点を見つけ出し、嚥下を少しでも改善できるような治療方針を検討することを目的としています。

2)当外来で診療する疾患

嚥下障害の精査、適切な治療(義歯調整をはじめとした歯科治療、リハビリテーション、適応があれば手術など)

2.診断治療について

1)診断について

一般外来を受診された方の内、当外来にて検査、治療が必要な方が再来(予約)となります。原則として、まず生活状況や現在の食事状況など含めた問診を行うとともに、はじめに嚥下内視鏡検査(鼻から細いファイバースコープのカメラを挿入して飲み込みの様子を観察します)を行います。その状態を評価した後、嚥下造影(バリウムを含む飲物や検査食を召し上がっていただき、その様子をレントゲンで観察します)を行います。これらを総合的に判断して、嚥下動作のうちどこが問題となっているかを判断します。

2)治療方針

当センターでは歯科、リハビリレーション科など他科との連携を重視しており、嚥下に関する問題点を合同で検討しております。その結果に対して、義歯調整、リハビリの追加や変更、さらに適応となれば耳鼻咽喉科的手術など、多方面からアプローチすることで嚥下障害の改善を図ります。

3.担当医よりメッセージ

1)嚥下障害の治療について

高齢化社会の訪れや医療の高度化によって重症疾患の救命率が高まるにつれて、嚥下障害をもつ患者さんが増加しています。食べることは単なる栄養補給にとどまらず、「食の楽しみ」「コミュニケーションの場の提供」として生活の質に大きく寄与します。

一方、呼吸の道すじに食物や唾液が落ちてしまう「誤嚥」は生命の危険を伴う肺炎を引き起こします。当外来では、とくに入院治療を行っている頭頸部癌、神経筋疾患の患者様の摂食嚥下の評価、治療を行うべく活動を開始しています。 Quality of Life (QOL)の中心である食べることをサポートすべく、当センターでは、耳鼻咽喉・頭頸部外科のみならず、リハビリテーション科、歯科、メディカルスタッフと協力し、疾患ごとに重症度を検討し、リハビリテーションなどの保存療法と手術治療(嚥下機能改善手術、誤嚥防止手術)の選択を一緒に考えていきたいと思います。

4.各疾患説明

1)嚥下障害

脳血管障害後、重症疾患からの回復期、長期の寝たきりの後、神経や筋肉の疾患、高齢などから嚥下障害を来す患者さんは増加の傾向にあり、日本では600万人以上が多少の嚥下障害をもって生活しているといわれています。重症の嚥下障害では食物を口から摂取出来なくなるだけではなく、繰り返す肺炎の原因にもなります。耳鼻咽喉・頭頸部外科では嚥下「ごっくん」の際に重要なはたらきをする「のど」を直接観察し、嚥下障害の程度や原因を調べます。リハビリテーション科や歯科領域のスタッフと相談し、治療を依頼し、重症例には手術治療の相談をしています。