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ことばときこえの外来

小児難聴の専門外来です。

1.ことばときこえ外来について

きこえの異常が疑われる赤ちゃんや、ことばの遅れが心配なお子さんを対象にした外来です。

新生児聴覚スクリーニングを希望する新生児、新生児聴覚スクリーニングで精密検査や再検査を勧められた赤ちゃん、きこえやことばの遅れが心配な幼児、就学時や学校の検査で再検査を勧められた小学生くらいまでのお子さん、を対象にしています。

当院は、新生児聴覚スクリーニングの精密聴力検査機関に指定されています。
確定診断、治療方針の決定や療育・教育機関へのご紹介・連携を行っています。

 

2.診断・治療について

こどもの「きこえ」と「ことば」 大切なことは何?

こどもの「きこえ」の異常(難聴)は、充分な音が聞こえないために「ことば」の発達が妨げられ、コミュニケーションの障害や学習困難(考えるときには「ことば」が必要です)の原因になります。
こどもの「きこえ」の異常は、言葉を話せる成人の難聴と違い、単純に、「耳が聞こえない」、というわけではないのです。

きこえの異常は、赤ちゃんの外見ではわからないことが多く、健康に生まれた赤ちゃんにも生じることがあります。そのため、きこえの異常を指摘されても、本当に「きこえ」に異常があるのか受け入れられなかったり、赤ちゃんがどんなことに困るのか良くわからなかったり、お子さんの将来に大きな不安を感じられることと思います。

きこえに異常がある赤ちゃんは約1000人に1人いるといわれています。残念ながら、このうちの多くは、お薬や手術で治すことが難しいタイプのきこえの異常です。しかし、ことばをお話しするようになる前(赤ちゃんの時期)から補聴器や人工内耳などで「きこえ」を補い、保護者の方と一緒に療育を行うことで、ことばの発達と良好なコミュニケーション、学習能力を得られ、障害を克服していけることがわかっています。

このために、生まれたばかりの時にきこえの検査(新生児聴覚スクリーニング検査)が行われるようになりました。

新生児聴覚スクリ―ニング検査で異常といわれたら

新生児聴覚スクリーニング検査で異常を指摘された赤ちゃんは、生後1か月頃までにスクリーニング検査を繰り返します。原因を調べるための検査を同時に行うこともありますので、生まれてから生後21日目までの受診をお勧めしています。赤ちゃんも小さく、お母様も体調が万全ではないときの受診となることが多いのですが、産科や小児科で指定された時期に受診するようにしましょう。検査の結果は成長とともに変化することもあるので、診断は3か月頃に行います。そして、遅くとも6か月頃(お座りができるころ)までには補聴器の使用器の使用を始められるように心がけています(1-3-6ルールといいます)。きこえの様子や原因によっては人工内耳の手術をお勧めすることもあります。

豊かなコミュニケーションができるようになるには、補聴器を使用する前から、言葉がけや、やりとりあそびを増やしてあげることが大切です。当院では、補聴器を使用する前後から、宮城県立聴覚支援学校内にある、「ひよこクラス」(早期支援ともよばれています)と連携し、ご家族に対するご相談、きこえに異常があるお子さんに関する勉強会や交流会、個別やグループでの療育を行っています。

補聴器と人工内耳手術について

補聴器は、成長に伴い、赤ちゃん用の小さいものから大きめの機種に変えていく必要があります。当院では、最初に脱落防止の耳型(イヤモールド)を作成し、およそ1週間後から補聴器の貸し出しを行っています。「きこえ」の様子や成長や原因によっては人工内耳(内耳に直接、音の刺激を送る装置)の手術をお勧めすることもあります。

当院では、乳児・幼児に対しては、年間20例ほどの補聴器処方と年間5から7例ほどの人工内耳手術を行っています。補聴器や人工内耳手術後の機器調整、各種検査、療育はリハビリテーション科言語聴覚士と協力して行っております。

また、補聴器、人工内耳どちらの場合でも、どうしたらより良い音が聴こえるのか、ことばを覚えやすいのかなどに気を配りながら、遊びや日常の生活の中で、ご家族とお子さんが一緒になって「ことば」とコミュニケーションを育てることが大切になります。宮城県立聴覚支援学校、ヒヤリングセンター、ふだん通っている保育園や幼稚園などと、多数機関で協力して行っていきます。

3.担当医よりメッセージ

新生児から小児の聴力検査、発達検査が可能な病院は限られています。新生児聴覚スクリーニングで異常を指摘されたり、ことばの遅れが気になる、音への反応が気になるお子さんは、早めに受診していただければと思います。各種機関と連携しながら、お子様の成長にとって最善の方法を協力して探り、ご両親やお子様本人をサポートできればと考えています。

新生児聴覚スクリーニングを受けていないかもしれない

母子手帳の17ページ付近にある「検査の記録」新生児聴覚検査の欄を確認しましょう。結果の記載がない(検査を受けていない)時は生後3か月くらいまでは、スクリーニングが行えます。 

音への反応が悪い気がする。言葉が遅い。意味のある言葉が出ない。

新生児聴覚スクリーニングでは発見できなかったきこえの異常や、発達障害がかかわっていることがあります。年齢に合った聴力検査や発達検査を行います。

ことばときこえ外来を受診するには

受診には紹介状が必要です。
ことばの遅れやきこえに心配がある場合(文末の「ことばの発達チェック表」をご参考にしてみてください)は、お近くの耳鼻咽喉科や小児科にご相談いただき、紹介元の先生から毎週水曜日の一般外来に初診の予約を取っていただいてください。新生児聴覚スクリーンニング検査希望時は、出生した産院や小児科からも予約ができます。

4.各疾患説明

こどもの「きこえ」の異常の原因

遺伝性難聴

およそ3分の1は遺伝性であるであるといわれています。原因の遺伝子はご両親の両方から受け継いでいることがほとんどです。遺伝子を調べることで、「きこえ」がさらに悪くならないか(進行性難聴)、「きこえ」以外の症状があらわれないか、「きこえ」を補う効果的な方法は何か、など重要な情報がわかることがあります。検査は赤ちゃん本人から採血して行います。

先天性サイトメガロウィルス感染症

また、サイトメガロウィルスの感染がきこえの異常に関係していることもあります。当院では出生後21日目までは赤ちゃんの尿から検査を行うことができます。産院で検査が済んでいる場合もあります。感染と診断された場合は、お薬できこえが悪くなることを防ぐことができる可能性があるため、状況によって宮城県立こども病院感染症科にご紹介しています。

内耳や中耳の先天性奇形

CTやMRIなどの画像検査で原因がわかることもあります。

「ことば」の遅れの原因

「きこえ」の異常の他に、発達全体の遅れや発達障害が関係していることがあります。小児科と協力して原因を探り、療育につなげていきます。

関連機関連絡先 参考資料